不動産用語集

あ行

IT重説

不動産取引における重要事項説明を、インターネット等を利用して対面以外の方法で行なうこと。宅地建物取引業が定めている重要事項説明における対面原則の例外である。

IT重説の導入に当たっては、関係書類を十分に確認できること、双方向で確実にやりとりができること、宅地建物取引士が実際に説明することなどの要件を満たすとともに、消費者が不利益を被らないよう措置する必要がある。そのための条件等について検討・検証が進められ、不動産の賃借に当たっての重要事項説明に限って、一定の条件を満たす場合に、IT重説を対面による説明と同様なものとして認める運用がなされている。

AR

情報技術を活用して、現実世界に仮想の情報を重ねることによって現実感を拡張すること。英語のAugmented Reality(オーグメンテッド・リアリティ)の略語で、「拡張現実感」「拡張現実」などと翻訳されている。

たとえば、現実の部屋のなかに仮想の家具を置いてリアルな空間として知覚すること、現実の土地に仮想の建物を建築して空間的な調和や景観を確認することなどは、ARの利用例である。

なお、ARは現実をベースに人工的な情報を重ねて現実感を広げるのに対して、VR(Virtual Reality)は現実感を人工的に生み出すという違いがある。

か行

カーテン

窓に掛ける布や膜。日照を遮ったり、部屋を装飾するために使われ、一般に、開閉できる。部屋の仕切りとして使うものも含む。英語のcurtain。

目的、材質、開閉方式などによって選択することになるが、主なものとして、厚手の織物でできたドレープカーテン、薄地で模様のあるレースカーテン、パネルを重ねたブラインド、布を巻き上げるロールスクリーンがある。

クーリングオフ

一定期間、無条件で契約の申込みの撤回または解除ができる制度。消費者を保護するための措置で、訪問販売、電話勧誘販売などに適用されるが、一定の宅地建物の取引もその対象となる。

クーリングオフの適用があるのは、

1.宅地建物取引業者が自らとなる宅地建物売買契約において、2.その事務所やそれに準ずる場所以外の場所売主で申込みや締結がされた場合であり、3.撤回または解除ができるのは8日間以内

である。

撤回または解除は書面で通知しなければならないが、その理由などを示す必要はなく、発信日を明確にすれば良い。その通知があったときには、売主は速やかに手付金受領した金銭を返還しなければならない。

さ行

サンドブラスト

対象物の表面に研磨材を吹き付けて加工する方法。英語のsandblasting(サンドブラスチング)。

鋼材、コンクリート、石材等の表面研磨、陶磁器、ガラス工芸品等の仕上げ・彫刻などに使われ、表面の処理を容易に行なうことのできる工法とされている。

研磨剤としては、硅砂のほかアルミナ、ガラスビーズなどが使用される。また、吹き付ける方法には、圧縮空気による乾式と高圧水による湿式とがある。

た行

ダイニング

食事をする部屋。英語のdining room。間取りを示す「◯LDK」のDである。居間や調理室と兼用する場合も多い。

なお、英語のダイニングは食事という意味であって、部屋を示す言葉ではない。例えば 、ダイニングテーブル(食卓)、ダイニングカー(食堂車)にように使われ、部屋を示すときにはダイニングルームとしなければならない。

な行

ナイトテーブル

ベッドの脇に置く小さいテーブル。収納スペースを備えたものもある。時計、メガネ、本などを置くなど、ベッドと組み合わせて使われることが多い。

なお、「ナイトテーブル」は和製英語で、英語ではnight stand(ナイト スタンド)またはbedside table(ナイト テーブル)という。

は行

パーキング

駐車場。不特定多数に対する短期的な貸付け営業の用に供するものを指すことが多い。英語のparking lotの略。

パーキングは、永続的な設備として設置されるほか、空き地の活用や建築予定地の一時的な利用のために設置される場合がある。

公共の用に供するパーキングであって、駐車の用に供する部分の面積が五百平方メートル以上であるものの構造および設備は、建築基準法のほか、駐車場法で定める基準によらなければならない。また、都市計画区域内にこれを設置するときには、設置者は、あらかじめ、規模、構造等を都道府県知事等に届け出なければならない。

ま行

マグニチュード

地震の規模を表す量。地震波として放出されるエネルギーの量に基づいて算定され、観測地点とは無関係に定まる。一方、「震度」は、観測地点での地震動の強さを表す指標である。

マグニチュードの算定方法は、算定に用いる地震波の種類や周期などに応じて、表面波マグニチュード、実体波マグニチュード、気象庁マグニチュード、モーメントマグニチュードなどがあるが、いずれも地震波のエネルギー量を示すことは共通である。

例えば、観測史上最大の地震であるチリ地震(1960年)のマグニチュードは9.5、関東南東部地震(関東大震災、1923年)は7.9、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災、1995年)は7.3、三陸沖地震(東日本大震災、2011年)は9.0であった(『理科年表』)。

水回り

給排水のための設備が設置されている区画。台所、洗面所、浴室などが該当する。

水回りの維持管理に当たっては、水漏れ、水詰まり、水たまりなどについて注意しなければならない。

や行

家賃保証会社

賃貸住宅の賃借人が負う家賃支払債務について、連帯して保証する会社。

家賃保証会社の連帯保証責任は賃借人との保証委託契約によって成立する。委託契約の締結に当たっては、家賃保証会社が賃借人の家賃支払能力等について審査するのが通例である。


契約が成立すれば、賃借人は保証料を支払い、家賃保証会社は、賃借人が家賃支払債務に関して不履行が生じた場合に賃借人に代わって代位弁済する。この場合、代位弁済した家賃保証会社は賃借人に対する求償権を得ることとなる。

家賃保証は、従来、連帯保証人によることが多かったが、保証人に予期しない負担を負わせる可能性があること、保証人を依頼することが難しいことなどから、それに代わって、家賃保証を業務とする営業(保証ビジネス)が広まった。

家賃保証会社は、賃貸人の債務負担能力の審査、代位弁済した家賃の求償などを担うことから、健全な業務運営を確保し、賃借人の利益を保護する必要がある。そこで、国土交通省は、家賃保証会社が登録するしくみ(家賃債務保証業者登録制度)を創設した(2017年10月)。この制度によって、登録した家賃保証会社は、保証業務の実施に当たって、契約前の重要な事項に関する説明・書面交付、賃借人毎の弁済履歴を記録した帳簿の備付け、受領した家賃等についての自己の財産との分別管理、暴力団員等への求償権の譲渡等の禁止などのルールを遵守しなければならないとされている。

ら行

ロフト

次のような3つの意味がある。

1.屋根裏の空間を利用して造られた部屋
2.床から天井までの高さが大きい部屋において、天井近くに設置された物置等に利用できる空間
3.1つの住戸内において、2つの部屋が上下に連続した形で造られているとき、上のほうの部屋

わが国では、主にマンション・アパートで2.の意味で使われることが多い。

わ行

ワークライフバランス

ライフスタイルやライフサイクルに応じて、仕事の責任を果たしつつ、多様な生き方が可能となる状態をいう。

仕事と私生活のバランスを確保できるように労働時間を編成する仕組みが必要で、そのような仕組みの構築をめざす政策がワークライフバランス政策である。「仕事と生活の調和」と訳されることがある。

ワークライフバランスを実現することは、

1.男女均等の確保(育児休業、父親の出産休暇などがこれに該当)
2.パートタイム労働の待遇改善(働く形態によって差別されない)
3.ライフサイクルに応じた労働時間の適切な編成
4.女性や高齢者の就業率の向上
5.福祉受給者の労働市場への参加(メイク・ワーク・ペイ)
6.出生率の向上
7.就業モチベーションの向上や就業能力開発の機会拡大

など、多面的な課題への対応に資すると考えられている。

なお、政府は、仕事と生活の調和推進官民トップ会議(関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等で構成)において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」および「仕事と生活の調和推進のための行動指針」を合意している(2007(平成19)年12月、その後、2010(平成22)年6月に再合意)。

「仕事と生活の調和推進のための行動指針」は、ワークライフバランスが実現するための条件として、

1.就労による経済的自立が可能な社会
2.健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
3.多様な働き方・行き方が選択できる社会

の3つを挙げたうえで、具体的な取組み内容を列挙し、その進捗状況を把握・評価するために、数値目標および「仕事と生活の調和」実現度指標を定めている。